株式スクリーナーに1株当たりの指標を追加、会計期間も拡充

08 27

株式スクリーナーとシンボルページに1株当たりの指標を導入し、よりパワフルになりました。企業間の比較がより正確になります。この機能を最大限に活用するためにも、ファンダメンタル分析にどんなデータを追加できるようになったかを見ていきましょう。

1株当たりの指標が重要な理由

1株当たり指標は、企業規模によらずそれらを評価するのに便利です。企業の効率性、株主にとっての魅力、そして財務の柔軟性が明らかになります。

1株当たりフリーキャッシュフロー (FCF) を例に挙げましょう。この指標は1株当たりのフリーキャッシュフロー(設備投資後に残される資金)がどれだけあるかを示します。これは企業が外部資金に頼ることなく、配当金の支払いや自社株買い、負債削減を行う能力を理解する上で重要な指標です。

いま2つのエネルギー企業を比較しているとしましょう。一方は大企業、他方は中小企業だとします。両社とも絶対値では同程度のフリーキャッシュフローを生み出しているかもしれませんが、中小企業の方が1株当たりのフリーキャッシュフローが高い可能性があります。

指標 大企業 中小企業
フリーキャッシュフロー(百万ドル) 1,000 500
株式数(百万株) 200 50
1株当たりフリーキャッシュフロー(ドル) 5 10
株価(ドル) 50 40
利回り(FCF利回り) 10% 25%

上記の例では、中小企業は1株当たりでFCFが2倍生み出されており、FCF利回りも大幅に向上、株主へのリターンも大きくなっています。

それでは、他に利用できる指標にどのようなものがあるか、どのように分析に役立つかを見てみましょう。

1株当たり売上高 1株当たりの売上高は、規模が異なる企業の比較とそのセクター内での経営効率を比較するのに最適です。
1株当たり営業キャッシュフロー 1株当たり営業キャッシュフローは、決算発表で報告された利益が実際のキャッシュフローでどの程度の裏付けがあるかを示しています。
1株当たりフリーキャッシュフロー 設備投資後の残高を示します。配当金の支払、自社株買い、あるいは負債削減のために必要な資金を調達する能力を評価するのに使用されます。
1株当たりEBIT 利息および税引控除前の営業利益を1株当たりの数値として算出したものです。税金や負債の影響を除いた事業パフォーマンスを評価するのに役立ちます。
1株当たりEBITDA 利息・税金・減価償却費控除前の利益を1株当たりの数値として算出したものです。特に資本集約型の産業で営業収益性を評価するために使用されます。
BPS (1株当たり純資産) 貸借対照表に基づいて算出された1株当たりの純資産額です。その企業が持つファンダメンタルの価値を評価して、割安と思われる銘柄を見極めるのに役立ちます。
1株当たり総負債 企業の負債総額を1株当たりで算出したものです。財務の安定性を分析し、企業間の負債水準を比較するのに役立ちます。
1株当たりキャッシュ 1株当たりの現金同等物です。短期負債をカバーできる流動性と準備金を評価するのに役立ちます。
1株当たり流動資産 1株当たりの流動資産と流動負債の差額を示します。ディープバリュー投資の分析において、流動資産の価値を下回る取引をされている銘柄を特定するのに使われます。
1株当たり有形資産 1株当たりの有形資産(無形資産を除く)です。これは残存事業価値を評価する古典的な指標です。
1株当たり運転資本 流動資産と流動負債の差額を反映します。短期債務に対する企業の返済能力と安定した事業運営能力を評価するのに役立ちます。
1株当たり設備投資 1株当たりの設備投資額です。成長戦略と投資活動を評価するのに使用されます。

会計期間としての「半期」とカラムの新規追加について

主要な財務指標の会計期間として「半期」を追加しました。この値は過去2つの四半期についての数値を合計したもので、とりわけ米国以外の企業に多く見られる非標準的な会計期間を持つ企業の分析に役立ちます。

透明性と明瞭さを向上させるために、新しいカラムを2つ追加しました:

  • 決算期末 — 企業が財務諸表を準備・作成する期間の終了日です。下図の Microsoft(MSFT) では2025年6月30日が会計期間の終了日です。
  • 会計期間 — 2025年第2四半期、2025年上半期、2024年度など、その企業の財務諸表が適用される期間を示します。指標がどの期間に対応するかを正確に特定できます。

これらの新しいカラムの導入により、各指標の背後にある会計期間が明確になり、企業間の比較がより簡単で正確になります。

株式スクリーナーでは、以下の会計期間に対応しています:

  • 四半期
  • 半年毎
  • 年間
  • 直近12ヶ月

新しい指標を使うには

株式スクリーナーでは、1株あたりの指標を列またはフィルターとして簡単に追加できます。

フィルターを追加するには、画面上部のパネルから「+」ボタンをクリックしてください。お使いのデバイスがWindowsもしくはMacの場合は Shift + F キーを押して目的の指標を選択することもできます。次に、必要な会計期間を選択します。フィルター追加後にカスタマイズすることもできます。フィルターのドロップダウンリストから「手動で設定」を選択して具体的なフィルター条件を入力してください。

必要な指標を含むカラムを追加するには、テーブルのヘッダーにあるプラス記号をクリックします。お使いのデバイスがWindowsもしくはMacの場合は Shift + C のショートカットキーを使用することもできます。あとは必要な会計期間を設定して、必要に応じてリストを並べ替えるだけです。

分析をさらに効率的にするために、新しいカラムセットも追加しました。このカラムセットには既に1株当たりの重要指標がすべて含まれているので、スクリーナーを手動で設定する必要はありません。

1株当たりの指標はシンボルページでもご確認いただけます。「ファンダメンタル」タブに移動して「統計」を選択したのちに画面を下にスクロールさせると「1株当たり指標」のセクションが見つかります。

このデータ追加によって、皆様の分析作業がさらに捗るようになり、より包括的な株式市場分析が可能になることを願っています。企業間比較の精度が高まれば、意思決定の際に役立つ情報をさらに多く集めることができ、有望なトレンドをいち早く発見できます。

ぜひ、ご意見をお聞かせください。皆様からのフィードバックがプラットフォーム改善の大きな糧になります。

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